父との思い出とマーチ

私と父とは小さい時から話が合わない。
典型的な昭和ヒトケタの戦争前後に苦労してモーレツ社員だった父。
昭和の終わりに新人類と呼ばれた趣味人の私。
世代間の格差が一番大きかった親子である。
唯一共通と思われるのが音楽。
とは言ってもSP時代の父とビートルズ以降の私に共通点はない。
ところがである。
私が小学生の頃、音楽の授業で聞いたマーチを聴きたいと父にいう。
しばらくしておみやげだと私に一枚のLPを渡した。
マーチのアルバムだった。
家にあった真空管のステレオで喜んで聞いた。
父はそれを満足気であった。
中学生になってオーディオ機器に興味を示した頃、お菓子の缶の入った父のコレクションを改めて見て驚いた。
フルトベングラーとは言わないが、それなりのクラシックの名盤であった。
ベートーヴェンの5番がSPでは5枚組だった。
SP盤を聞いている私を見て父はニコニコしていたっけ。
その当時の父の年齢を追い越してしまった。
アマゾンをサーフィンしていてなんだか無性にマーチが聞きたくなった。
という訳で、中古で一番安いマーチのアルバムを購入して今日届いた。
送料込みで数百円である。
10歳ぐらいの頃の自分が音楽の中にある。
いつもケンカ、言い合いの父との思い出がそこにはある。

星条旗よ永遠なれ~マーチ名曲集

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