一酸化炭素の生成熱

不完全燃焼によって生じる一酸化炭素は毒ガスの代表である。
少量でも人を死に至らしめる。
理由は赤血球中のヘモグロビンと強く結合する性質にある。
ヘモグロビンは酸素を細胞に運ぶ働きがある。
その目的のため酸素を離す仕組みがある。
ところが一酸化炭素は強く結合するため離れない。
したがって体の各部、特に大量に酸素を消費する脳が酸欠になり死ぬ。
その一酸化炭素が炭素の酸化によって生成される時の発熱量を測定するのは難しい。
なぜなら炭素は燃焼すると二酸化炭素になろうとするからである。
つまりどんな条件で実験してもどうしても二酸化炭素が生じるため
一酸化炭素のみの生成熱を測定することは不可能に近いわけだ。
そこでこれをヘスの法則を利用して計算で求めることができる。
一酸化炭素のみを集めることは可能。集めた1molの一酸化炭素を燃焼させて熱量を測定。
CO+1/2O2=CO2+akJ
次に普通に炭素の単体である黒鉛を1mol完全燃焼させて熱量を測定する。
C+O2=CO2+bkJ
この差が一酸化炭素の生成熱となるわけである。
C+1/2O2=CO+(b-a)kJ
こうして熱化学方程式で書くと難しく見えるがエネルギーのグラフで見るとわかりやすい。