ル・ボン群衆の心理

私が贔屓にしているブロガーが群衆の心理について書いていた。
その中で、19世紀の心理学者ルボンについて書いている。
ちょいと調べてみた。
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1.道徳性・知性の低下……群集の一人になった個人の道徳規範は『責任意識の分散・匿名性』によって著しく低くなり、自分の知識と判断で物事を考えなくなるので『知性の低下』の弊害も起こってくる。周囲の誰かが暴力的な言動をはじめると、自分も無意識的に付和雷同してしまい、普段の自分よりも無責任・衝動的に暴力を振るいやすくなる。

2.被暗示性……群集の一人になると、その場の空気や勢い、扇動(メッセージ)に流されやすくなり、周囲の感情・興奮に同調するだけで自分の意識や責任で判断しなくなるので『暗示』にかかりやすくなってしまう。

3.思考の単純化……群集の一人になると、個人としての自尊心や自己規定が曖昧になってしまい、周囲の空気や勢いにただ合わせるだけの知性の低下が起こって、物事の見方や行動の基準が単純化してしまう。難しい物事を理性的かつ論理的に考えようとする意欲・態度が群集の中では損なわれてしまいやすいのである。

4.感情的・衝動的な興奮……群集の一人になると、周囲にいる人たちの喜怒哀楽や興奮が自分に伝染しやすくなり、ちょっとした刺激に対して過剰に反応して大声を出したり、反対する集団に対して怒ったり暴れたりするリスクが高くなる。

5.偏狭性・排他性……群集は『共通の敵』や『賛成できない抵抗勢力』を作り上げることによって団結心・連帯感を高める特徴があり、自分たちだけが正しいという偏狭性・排他性を持ちやすく、反対勢力との合理的な話し合いを拒むことで暴力的・衝動的に衝突するリスクが高くなる。

ル・ボンは管理者(指導者)が群集をコントロールするために用いる対人・言語のスキルとして、『断言・反復・感染』を上げている。

断言……合理的な議論・意見の交換を拒否して、自分の主張だけを大声ではっきりと一方的に分かりやすく断言してしまうこと。

反復……非合理的な断言を何度も何度も反復して繰り返すことで、聞いている人を半ば洗脳してしまうこと。

感染……群集の中にあるメッセージが正しいとかある勢力が憎いとかいう『感情的な空気・感覚』を感染させて広げていき、非合理的な世論(集団の同調圧力)を作り上げていくこと。
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一昔前のマスコミ、今のネットがこれに当てはまる。
社会がどんなに熟成しても人間自体はそんなに進化していないということだな。
私はルボンに傾倒しているわけではないが
この愚かな群衆にどっぷり交わらないように心がけている。
ブログを読んでもらえばわかると思うが、ニュースを少し斜めから見ることにしている。
かなり多くの人がわずか数文字のヘッドラインでわかった気になっている。
ツイッターなんてその典型だよね。
映像なら信用できるのか。
今回のようじ少年のように簡単に偽装できることを知った。
つまり、正面の一行だけで物事を知った気になる、判断するというのは大変危険だ。
群集心理とはその危険の典型だよね。
なんだかたくさんいるから、多数派だから正しいみたいなイメージになるが
多様な価値観であるはずの人々が一箇所に集まって同じことを言うというのは
実はおかしいことだしたいていが間違っている方向にある。
サッカーのあとの渋谷の喧騒などはわかりやすい代表例だ。
ヘイトスピーチにしてもB1グルメにしてもたくさん集まるからなんだか形になっているが
やっていることを冷静に文章にすれば
外国人の悪口を汚い言葉で言う。
安い焼きそばを食べる。ということになる。
あれだけ熱狂できるのは群集心理そのものだ。