臆病者の機長

朝日新聞天声人語より
1966年羽田空港でカナダの旅客機が濃霧で着陸失敗。
64人が犠牲になった。
その事故の直前、ハワイから飛んできた日航機が二度の着陸を試みるも
断念して福岡へ向かった。
ハワイから8時間もかかって羽田まで来たにもかかわらず
福岡へ向かうことに乗客は落胆する。
福岡では入国手続きに手間取ったため、乗客の憤まんはピークに達する。
その時、空港のテレビで炎上するカナダ機を目にする。
憤まんは機長への感謝に変わった。
そして「臆病者と言われる勇気を持て」という格言が航空界に広まった。
最近の山や海の事故や大雨などの気象災害を見るにつけ、
臆病なほど相手(自然)の機嫌をうかがう心構えが肝要である。…と結んでいる。
自然を次々と破壊して、自然と称した人工物を自然と勘違いしている今の人間たちを
本物の自然は寛容に許してはくれないようである。