円安外国人客の未来

 疲れ果てた日本人は、過去を懐かしんで、つぎのように言うだろう。

 「1ドルが160円になって、大騒ぎした時代があった。まだ余裕があった古きよき時代のことだ。いまや、給料は当時と変わらないのに、ホテル代は一泊70万円、海鮮丼は5万円だ。あの時に抜本的な円安対策を実行していたら、こんな惨めなことにはならなかったのに……」
野口 悠紀雄(一橋大学名誉教授)   現代ビジネス

まだ若かりし頃の阿部寛、可愛らしさがあった時代の広末涼子ホイチョイ・プロダクションという映画があった。「バブルへGo」である。バブル期の時代を描いたあと、バブル崩壊への失政を描いたストーリーである。タイムマシンを使って「もしバブルを軟着陸していたら」というのがラストに描かれる。
バブル期はテレビ新聞雑誌しか情報ツールがない時代だった。国民は大本営発表しか知ることができない。土地不動産が急上昇して億ションという言葉がでた。ディスカバー・ジャパンと旅行が促進された時代。うまく舵取りすれば少なくともリーマン・ショックぐらいまでは経済成長が見られたはず。
さて野口教授のコメントは急激な円安と外国人が落とすお金に群がる人のための失政がどう影響していくかをシミュレートしている。40歳以下の人はバブル崩壊から小泉政権までの日本のあたふたを知らない。
実は景気が悪い、デフレ、給料が上がらないと悪いことばかりマスコミは煽っていたが、実は私のような公務員職にとってはもともと給料が安かったから民間が悪くなっただけ。デフレで物価は下がったから、生活はしやすくなった。円高で海外に行きやすいし外国製のもの(日本ではほとんどのものだが)買いやすくなり私もオメガのスピードマスターを購入した。
そして土地ころがしや株で儲けて偉そうにしていた人たちが落ちぶれて溜飲が下がる。努力をしなければお金を得られない、良い世の中だった。

ところが今はどうか。物価は狂乱物価時代に近い。給料は上がらない。株だけは上がって金持ちはいい思いをしている。外国人が流入して通勤電車や観光地でもバカでかいスーツケースを転がしている金持ちの彼らが幅を取ってかっぽしている。一部の観光地と飲食業という水物は儲かるかもしれないが庶民の生活は苦しくなる、というより旅行も外食もできなくなる。京都や鎌倉の一部の業界だけを見ている今の政治でいいのか。