沖縄戦

沖縄戦の祈念日だそうだ。
私は何度も沖縄へ行って何箇所かの戦争にまつわる施設を見学した。
語り部の話も何度か聞いた。
NHK映像の世紀を何度も見ているし、それ以外の映像も見た。
さんまが主演した映画も見た。
沖縄戦には多少の理解はあるつもりだ。
さて、先程のNHKの報道では記憶の風化が進んでいるという。
よくよく考えれば当たり前のことでこのとき生まれた赤ちゃんは75歳。
すでに寿命である。
記憶があるとすれば80歳以上となる。
沖縄人は長寿であるから多くの語り部が残ってはいるが
普通に考えれば経験者はごく少数だろう。
風化はある意味当たり前なのである。
よくこの手のイベントで中高生がスピーチをするのだけど
基本的に彼らは経験していないし、教え込まれて言わされているだけだ。
さらにである。
南部にある沖縄戦の施設は立派だし多くの観光客も訪れる。
ひめゆりの塔も立派な施設だし近所に多くのお土産屋。
沖縄戦を風化させないために、多大な投資が行われている。
さらにそれにぶら下がって生きている人たちもたくさんいる。
令和のこの時代に戦争の悲劇を伝えるのは語り部とガマだけ。
だれもが簡単にスマホで情報や動画を見られる時代にやっていることは
昭和40年代の返還当時のやり方なんだな。
それを一言で「風化」というのは乱暴すぎる。
先日、私が拝聴した語り部は戦争と言うには明らかに年齢が若い。
つまり経験していない語り部、つまり俳優だ。
おかげで話はとても上手だった。
プロ、これが彼らのお仕事ということだ。
このように一部の人が沖縄戦を使ってお金儲けをしている現状では風化はやむを得ず。
もし本気で戦争の悲劇を伝えたいのなら、恵まれた施設や予算を活用して
さらにデジタル技術や映像を駆使して、次の世代にしっかり伝える努力をすべき。
ぶら下がっている人たちの食い扶持ありきではダメだ。
もう一つ
戦争が悪い、とひとくくりにしてしまっている。
誰がどのように悪かったのか検証すべき。
さんまが主演した映画でも軍部の非道が描かれている。
本来死ななくても良かった一般市民が軍部の誘導で死んでいる。
指揮したのは誰か、どのようにどうして一般市民が死ぬことになったのか、
ある意味吊し上げができていないのである。
戦争の悲劇とお手軽に片付けている。
連合軍の上陸作戦の目的は非戦闘員の殺戮ではない。
悲劇の本当の犯人をなぜかばおうとしているのか。
さらにハクソーリッジのような優れた映画も話題にしない。
風化を憂う人たちが本気で沖縄戦を多角的に見て考えているのか疑問。
非戦闘員の市民は被害者何だけど、本当の加害者をうやむやにしようとしている。
そして沖縄戦を知らない世代に、戦争を語らせている。
その多くの矛盾が戦争の風化ではないのか。