自然と人間と台風

学生に自然科学の講義をしている。
最近のお題は食物連鎖
私達人間はいつの頃からか食物連鎖、生態系から外れてしまった。
200年前までは気候に変動によって死者もでたが、近代になると
他国との貿易で食糧難になることはほとんどない。
暑かろうが寒かろうがどうってことないのである。
人間はあたかも食物連鎖の頂点のような錯覚をしている。
たまに台風や地震などの自然の猛威に触れると、ちょっと違うと思う程度。
実験、裸の人間をサメのいる海に落としてみる。
すると数分で食われる。サメよりは食物連鎖は下である。
アフリカのサファリに落としてみる。
ライオンなどにすぐに食われる。
ワニやカバにも襲われる。
肉食生物の中では最低の食物連鎖である。
私達の骨格、特に歯を見ると肉食よりは草食動物に近い。
生態系ではカエルに近い位置である。
裸の人間は蛇にも食われるわけで、カエルというのはいい線だ。
豚より下である。
映画ハンニバルでは人が豚に食われるシーンがある。
そんな弱っちい人間がこれでもかと自然を破壊しては住宅地や工場を作る。
おかげであぶれたクマやイノシシを害獣だと殺している。
温帯の森だけでなく熱帯雨林もぶっ壊しているわけで温暖化は進む。
台風程度の神の怒りぐらいは素直に受け入れるべきだろう。
もう一つ
去年の大阪、今週の東京と強力な台風が直撃したわけだが
様々な障害はあったものの、命に関わるほどの事案はほとんどない。
なんだかんだ大都市は災害に強いことを証明した形になった。
せいぜい、トタンの屋根が飛んだの倒木が引っかかったの電線が切れた、
程度の被害だけではないか。
よくよく考えればすごいことなのである。
食物連鎖では底辺の人間が、神の怒りの災害をこれだけかわすことができる。
この叡智を集めれば、いずれ温暖化問題もある程度解決できるかもしれない。
私の生きているうちは無理だとは思うが。