沈まぬ太陽の映画化

ついに映像化することになったか。
あまりにもリアルな設定ゆえ映像化はないと思っていた。
JALや御巣鷹山遺族からクレームなどでなかったのであろうか。
小説中に描かれた半官半民の日本最大の航空会社は
今となってはつぶれそうな状況。隔世の感がある。
大きな会社故に強い労組も今となっては頼みの会社が傾いていて
振り上げた拳を下ろすあてもない。
企業年金の件であがいているようだが、世論は支持しないだろうな。
そんな絶妙なタイミングでの映画化となった。
このニュースのコメントに興味深いものを見つけた。
事故の遺族についてである。
かわいそうだ、たいへんそうだという話かと思ったらそうでもない。
特に一家の大黒柱のお父さんが犠牲になった家庭。
働き盛り、子供が未成年だとそこそこの保険がかけてある。
事故死の場合は満額、もしくはプラスαの上乗せがある。
さらに日航から億単位の賠償金が払われたらしい。
金銭感覚が麻痺した遺族はさらに不幸になっていったそうである。
金がたくさんあれば子供は満足な教育が受けられるというのは間違い。
働かなくても生きていけるという教育を受けてしまうらしい。
航空機事故はいろいろなものをいっぺんに失ってしまうという。
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山崎の作品は人物の心情描写がイマイチだと批判する人がいる。
言われてみるとそんな気もする。
彼女の小説はきわめて客観的なデータと人物描写の積み重ねである。
私が思うにだから良いのである。
以前にどこかの評論家がTVで最近のドラマの批評をしていたが
最近は人物の内心をナレーションしたり、過去のことを再現映像にしたり親切すぎる。
読み手や視聴者が人物の設定や行動を見ていくに従って内心を
読み取り感じることも必要ではないのか。
登場人物の感情から考えまで全部言葉と映像にしてしまったら
ストーリーの押し売りでしかない。
本を読まない読解力のない最近のお子様にはぴったりかも知れないが。