クルマの悲しい話

トヨタの営業マンから私の父親について相談された。
3年前に「父親の最後のクルマだから」と購入した軽自動車の修理依頼。
リアバンバーが割れてしまう物損だそうだ。
すでに左の前後ドア、フェンダー、フロントと傷、
無傷のパーツは右ドアだけだ。
これで諦めるかと思いきや、クルマを買いかえると相談したらしい。
センサーがいっぱい付いていてぶつかりそうになるとブレーキがかかる
夢の車を所望しているそうだ。
先程、実家に行って「子供を引っ掛けたらどうするんだ」
「恥ずかしいことをするのはやめてくれ」と言った。
父親は地域の前自治会長、母親は県の老人会の副会長の要職にある。
老人の運転がこれだけ社会問題になっているのに自分たちだけは違う、
と、運転を続けるのはすでに整合性がない。
それでも、新車を買いたいという欲望はあるのだな。
私が免許取りたての頃から「お前は注意力が無いから気をつけろ」
とことごとく両親から注意されてきた。
私が事故を起こした時も一緒に謝りに行ってくれた。
そんな両親に「恥ずかしいことはやめてくれ」という立場になってしまった。
私が数十年後に子供から同じ事を言われればショックだろうな。
「お前にクルマや運転のイロハを教えたのは誰だと思っているんだ」
と、思わず怒鳴ってしまうかもしれない。
今日、おふくろはブチブチ言っていたが、オヤジは黙っていた。