山田太一

89歳で死んだそうだ。
ある意味『天才』だとは思うのだけど、多くの有名ドラマの脚本、原作を手掛けたとはいうのだけど、ネットニュースを見ても『ふぞろいの林檎たち』だけがクローズアップされている。他にも秀作はあるのだけど代表作が80年代というのも寂しい気がする。
私が山田太一を知ったのはも田宮二郎主演の『高原へいらっしゃい』、改めて見ると小中学生向けのドラマである。ただし、だからくだらないとかつまらないというのではない。人気アニメのようにしっかり作り込んでいるのである。殺人事件も大災害も起きない、登場人物一人一人の半生が描かれていくのである。普通の人でも人生のドラマがあるというわけだ。ユーチューバーやスポーツ選手になって大金持ちになりたいというつまらない夢(大人が勝手に作った夢)ではなくて、どういう大人になるべきかというテーマがあるような気がした。その後『ふぞろいの林檎たち』に受け継がれていく。
が、その手のネタはたくさんあるのだが華々しくない。有名タレントでも使わないとテレビにできない。だからバブル期以降、彼のドラマは少なくなっていったように思える。
20代30代、もしくは40代前半くらいの大人にこの頃の山田太一を見てほしいと思う。言葉も行動も短絡的な大人が多すぎる。口論で勝てばいい、お金を沢山貰えればいいという大人のことだ。山田太一はそういう大人を皮肉っているのである。

もう一つ
流行語大賞が本日発表、というニュース。
どうでもいい内容が並んでいるのだけど、この大賞は今ではなくて何十年後になって懐かしむものであることを歳を取って知った。先日も日テレのバラエティ番組で『ボキャブラ』の同窓会みたいな企画、『ダッチューの』の女性が出てきて盛り上がった。
思えばクレイジードリフの時代からたけしさんま紳助の時代に変わろうとしていた時期に若手として飛び出していたのがボキャブラ世代である。
ちなみにボキャブラも含めて、ネプチューン海砂利水魚らは深夜の帝王と言われていた。ゴールデンのお子様向け番組には受け入れられない尖ったところが好きだった。泰造の『巴投げ』を知っている人はどのくらいいるのかな。