トヨタ新型プリウス試乗


多分今年最大の注目車種ではないか。
トヨタのフラッグシップモデルのプリウスである。
これまでのプリウスといろいろアプローチを変えてきた。
ポイント1 全高を落とす
車内スペースを犠牲にしての大改革である。ミニバンやトールワゴンやコンパクトカーのユーザーに対しての挑戦状である。もちろんスライドドアもない。トヨタプリウスに対して昭和からのスポーティな乗用車を作ったのである。おまけに価格は400万円。
ということは、上記の多数派のユーザーと決別したことになる。その思い切りがトヨタなのである。ちなみに私の愛車のGRヤリスより乗りにくい。
ポイント2 エンジン2000cc
しばらく1.8のエンジンのHVだったが今回2Lにスープアップした。当然低回転からのトルクで燃費を稼ごうという趣旨なのだろうが、スポーティというイメージをどこまで体現できているか。

さて試乗。
エンジンをかけて走り出す。当たり前だがEVモードである。これまでよりもトルクが太くなった気がする。
道路に出て加速。驚いたのがどこからエンジンがかかったのかよくわからない。モーターのトルクとエンジンのトルクとに境目がない。本当はあるのだろうけどとにかくスムーズである。
次にハンドリング。
でかいタイヤが装着されていてグリップはGRヤリスと変わらない。接地感もかなり良い。安心してハンドルを切れる。悪いところを言えばステアリングのアシストは効き過ぎでハンドルは軽すぎる。その上、ニュートラルからの反応は普通の乗用車並み。コーナーで思っていたラインより少し膨らむ。
膨らむ理由はもう一つ。強化された新世代のシャーシ、大きいタイヤなのにサスペンションのセッティングが普通のプリウスなのである。お陰で乗り心地はすこぶる快適なんだけど不自然なロールがでてコーナリング中の微調整が取りにくかった。
徹底的に基本性能をあげているのにセッティングは70歳の人用という感じになっていた。これで400万円はスポーティ派にはちょっとお高い。どうせこの後GRモデルをだすのだろうから、そのへんで上記の不満点がすべて解消されるのだろうか。

試乗とはいえそこそこ手荒い運転をしている。が、営業所に戻ってエンジンを切ったときのデータ表示に驚いた。燃費17km/L、EV使用率74%。たしかに走っているときも頻繁にEVランプが点灯していた。エンジンのトルクが増してバッテリーの性能も上がっているのだろう。普通の人が普通に街なかを走れば20km/L、遠乗りすれば理論値に近い数字が飛び出すのだろう。HVシステムとしては今のところ究極ということだ。

一つだけ大問題。
究極のワンモーションフォルムでデザインはいいのだけどドアの位置が追いつかずセンターピラーよりフロント座席がずいぶん後ろにある。私のように180以上ある人にはお尻を入れるのにピラーが邪魔でとにかく乗り降りし辛い。デザイン優先で攻めるのなら全長を縮めて3ドア車にすれば良かったのに。後ろのドアの取手など、そういう設計思想があったことが見受けられる。