嫌われる勇気「アドラー」の教え

以前に拙著の題名を決めるときにも、キャッチーな物が良いと
複数の人から助言された。
当時は『バカの壁』が話題になっていた頃か。
この題名を見て『自己啓発書』のたぐいであることは薄々わかる。
うまい題名のつけ方である。
というわけで、読んだ。
哲学心理学の本は基本的に回りくどくて読みにくい。
また抽象的な表現ばかりで脳みそで噛み砕くのに時間がかかり疲れてしまう。
というわけで、売れるためには書き方に工夫が必要なわけだが、
『ソフィー』や『もしドラ』の成功例に習った本書である。
もしドラほどストーリーじみてはなく、ソフィーに近い感じ。
哲学者と悩み多き青年という設定で会話方式で話が進んでいく。
読者は青年に感情移入しながら読むことになる。
具体例を多くあげて、わかりやすく書かれているのが良い。
また主人公の哲学者がプラトンフロイトという先人の知識も豊富という設定で
ある程度の知識のある人もなるほどと読めるのだろうか。
全体的には『水が半分入っているコップを見て
もう半分しかないと思うか、まだ半分もあるさと思うか』という論理なのかな。
こう書いてしまえば元も子もないが、実例を上げながら丁寧に書かれている。
人の悩みの大半は対人関係だそうだ。
足が太い、汗をかく、も悩みの根源は対人関係だそうだ。
確かに他人がいなければ足が太いことを悩む必要もない。
ついてない、不幸だ、忙しいというのも、同様の理由だという。
目の前の出世や金儲けに夢中の人以外の人は読んで見る価値はある。