スポーツグレードはサスが硬いか

後輩とのクルマ談義。こんな素朴な問いかけをされた。

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本当にイイ足廻りって。何がイイのでしょうか?
トレジアタイプユーロに乗ったら、ガッチガチ。
いわゆるスポーツカーでは、当たり前なのでしょうか?
峠道の中速、高速コーナーを旋回した時、ロールが全く出ませんでした。
しなやかに踏ん張る感じではなく。
急に限界を越えた時に一気に滑る様な気がしました。
それは、感覚的に誤っていますか?

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おっさんの戯言だと思って読んで欲しい。

君が聞いていることは、クルマの本質に関わる。
どこのメーカーもビルダーもこのバランスに苦慮する。
一番のポイントはサスペンションではなくシャーシ剛性と完成度。
フニャフニャの段ボール箱の下にサスペンション付きの車輪をつけたとする。
どんなによいサスでもダンボールが柔らかいために良さを実感できない。
つまり乗り心地というのはサスだけではなくボディ、シャーシとのバランスで決まる。
本来、軽量なコンパクトカーは剛性が出しにくい。
そこでドアの枚数を減らして開口部を減らし剛性をだそうとする。
ミニがその良い例である。
ところが今の国産車は軽自動車でも両側スライドドアなど開口部だらけ。
見るからにダメそうだな。

そこでスポーツグレードを設定するときに問題になる。
一番面白いのがホンダのインテやシビックのタイプR。
元々がファミリーカーのシャーシをこれでもかと補強する。
そしてハイパワーに耐えられるようにサスを固めるわけだ。
タイプRはレースを前提に作っているのでこのバランスでいいわけだが。
街乗りはしんどい。
私の乗っている現行のインプSTIも比較的しなやかである。
それと引換にクラウンのような大きなボディが必要となった。
その最たるものがGTR。
全ての要素を詰め込んだらあんなにでかくゴテゴテになってしまった。
話が戻って
トレジアラクティスはハイト系のコンパクトだ。
基本的にはノーマルの乗り味が本来のボディ剛性。
グレードを上げていけば硬くなるが、それでも乗り味が損なわれない程度に
コーナリングが良くなるのならそれはそれで良い。
それが不満なら選ぶべきではない。
ただし別の見方もある。
不自然にサスを固めたクルマは、書かれているように限界点がシビアだ。
だからこそ乗りこなすのが面白い。
サスがしなやかでハンドリングも良いクルマなど快適なだけで面白みはない。
BMWのMシリーズやレクサス、ベンツなどのスポーツグレードはその最たるものだな。
それを100万円台のコンパクトに求めるというのは厳しい。