デブ親子


今回の沖縄旅行は安さに負けて、観光付きのツアーになった。
当然数日間行動を共にするツアー客がいる。
仲良くなる人もそれなりにはいるだろうが
今回は格安のちょっと特殊なツアーだったので旅なれた人ばかり。
変に馴れ馴れしい人もいないし驚いたのは団体旅行でありがちの
バスの乗り降りに手間取ったり、時間に遅れる人が皆無。
これなら団体旅行も悪くないと思った。
ところでその中にいた興味深い客の話。
私と嫁さんで「デブ親子」と呼んでいた母一人娘二人のグループ。
娘は中高生ぐらいである。
全員太っているのである。三人並ぶと見事である。
(私がデブなのはさておいて)
那覇空港に到着してシートベルトサインが消えて皆が立ち上がる時のこと。
私も立ち上がって上部トランクから荷物を出そうとしたときデブ親子が視界に入る。
すると母親は二人の娘にさきイカをひとつかみずつ配っていた。
タイミング的に芸をした犬やアシカに褒美の餌を与えるかのよう。
その後も興味深く見ているとバスや飛行機の乗り降り時に母親が袋から
必ずお菓子を取り出し、娘に与えるのである。
そりゃあ、ふとるわなあ。
夕食のバイキングでもデブ親子と並ぶ。
これまであまり周囲に迷惑をかけたりしなかったのだが唯一の迷惑。
いちいち食べ物の前で吟味してノロノロととるので時間がかかって後ろが渋滞。
食べ物に対する執念みたいなものを感じた。
その割にトレーに乗っているのは肉とスパゲティばかりであった。
まあ、デブの私も炭水化物は大好きだから他人のことは言えないが。
というわけで帰りの飛行機内でも羽田に着くまでせんべいをポリポリと食べていたデブ親子と
ずっと一緒の沖縄旅行であった。