どくとるマンボウ、北杜夫

中学の時だったか小学生の時だったか
北杜夫の「どくとるマンボウ航海記」の一部を国語の時間に読んだ。
教科書だったのか問題集だったのかは覚えていない。
すぐに図書館に行き借りて読んだ。面白かった。
それまでは流行ったり面白いストーリーの本を読む習慣はあったが
一人の作家を好きになったのは多分初めて。
私の中学の恩師の田神先生にそのことを何気なく話したところ
「私が学生時代に読んだ古本で良ければたくさんある、あげるよ。」
とうれしいコメント。
早速先生の自宅に押しかけて、大きな倉庫に連れて行かれた。
茶箱(今時聞かないな)の中から大量の本が出現。
北杜夫はかなりの種類がある。それ以外にもゲバラ瀬戸内晴美など。
片道6kmの道のりを自転車で何往復もして、たくさんいただいた。
北杜夫マンボウシリーズだけでなく小説も面白かった。
私に強い影響を与えた作家と恩師であった。
大人になってから北杜夫に触れる機会はほとんど無かった。
と、今朝、タイマーでTVが勝手につくと半分目を閉じたまま何となく聞いていると
北杜夫」と何度も聞こえる。
目を開けて画面を見ると白髪のよれよれの老人が見える。
なんと北杜夫本人であった。
高齢で娘の助けを借りてのトークだったが、少ない言葉の中にも
往時の切れ味鋭い話がぽつんぽつんと出てくる。
ほこりをかぶった田神先生の本をもう一度読もうかと書棚の前に行った。
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