ポールマッカートニー、バンドオンザラン

体力が無くなった、給料が下がった、上司から怒られた、
年下からイヤミを言われた、無礼な若者に出くわした、
信号が全部赤だった…と、歳を重ねてもいいことより
悪いことの方が圧倒的に多くなる。
特に私の場合はそうなのかもしれない。
そんなとき、聞きたくなるのがこのアルバムだ。
メロディがきれいで優しい音である。
ポールの才能がこれでもかと詰め込まれている。
私が入れ込んでいるのはアルバムのクォリティが高いだけではない。
このアルバムと出会ったのは私が坊主頭の思春期のはじめの頃。
もともと敏感なこの年頃の少年には刺激が強すぎた。
取り憑かれたようにビートルズに入っていったのを思い出す。
あの頃はどんなに歩いても、どんなに自転車に乗っていてもなぜか疲れなかった。
どんなに怒られても翌日にはけろっとしていた。
私の中学生の頃とこのアルバムは同化している。
何度聴いても目を輝かせて初めて聴いた頃に一瞬だけ戻してくれる。
この音楽はそんな心地よさがある。