満月のハロウィン

ニュースでは渋谷を始めとして大都市繁華街の喧騒を報道していた。
例年よりも仮装が減っているとのこと。
仮装目的でなくともやはりあれだけ集まってくるというからどれだけ人恋しい若者が多いことか。
インタビューを見るとひたすら徘徊するのだそうだ。
そりゃそうだ、お店は閉まっているしあいつらを受け入れる施設もないし。
ギャーギャー騒いで徘徊してゴミを撒き散らして帰るだけだ。
デジタルのSNSとアナログな人混みの徘徊、2つの世界を行ったり来たりしている。
どちらの世界に行っても何も得るものなどないだろうに。
裏を返せば彼らには失うものもないということか。
ギャーギャーと人混みを、というのはコロナの格好の獲物である。
もっと悲しいのは「あんなところにいっちゃダメだよ」と言ってくれる家族や友人や恋人がいないことなんだろう。
もしかしたら、彼らは好んで渋谷にいるのではなく行き場も人間関係も失ってたどり着いたところが渋谷なのかもしれない。
休むところもあたたまるところもないアスファルトだけの暗い街を地元の人や警官ににらまれながら徘徊するのだ。
それも喧騒の中での孤独の寂しさを作り笑いをして紛らわそうとする。
とにかくコロナに感染して地元で撒き散らすのはやめてくれ。