心が疲れるとエイリアンを観る

最初の公開は1978年である。
バブルよりもはるか昔、ピンクレディが出てきた頃。
巨匠リドリースコットの出世作。
デザイナーH.R.ギーガーの才能を世に知らしめた。
単なるB級ホラーのハズだったがオスカーまで受賞する名作になった。
この映画の評価は数知れず。
私が好きなのはこのキャラクターの純粋さにある。
3以降になるとちょっとしたたかさというか意識を感じるシーンもある。
が、基本的にエイリアンにセリフも文化も思考もない。
彼らは生きるという本能のままに行動する。
私の実家のバカ犬に似ている。
私や家族にはしっぽを振ってへらへらしているが他人には吠えるし噛みつく。
飼い主の父にも機嫌が悪いときは噛みつくと父がこぼしていた。
意識の上ではエイリアンと何ら変わるところがない。
利益や保身など何も考えない。本能である。
だからこの犬は嫌いかと聞かれればそうではないと答える。
シマウマを襲うライオンやウサギを食べる鷲を恨む人はいない。
エイリアンには人間的な思考を排除した潔さを感じる。
会社で人間関係に疲れて帰宅したときに観たくなる映画の理由はそこにある。
以前に岡山のエイリアンファンの主婦とメールの交換をしたことがある。
その方も同感してもらった話。
エイリアンが好きだというとグロや殺人を支持するような反社会的なイメージを
もたれてしまうが、実は純粋な平和主義の人が多いのだと声を大にして言いたい。