怪談『年賀状』

1月1日、我が家にも年賀状が配達される。
友人も仕事上の付き合いもほとんど無い我が家である。
年賀状の枚数も少ない。
届いたはがきの大半はいつもの人たちで慌てて書いて投函することも無い。
ところが、10数年ぶりの珍しい相手からの年賀状。
私が新人時代の大先輩。
80歳を超えたけど元気だというありきたりの内容だ。
というわけで失礼がないように1月1日のうちに返信を投函した。
ところがである。
4日にまたその先輩から年賀状が届く。
『早々に年賀状をありがとう』という内容。
年末に出したことを忘れていてうっかりしたのだろう。
実は私も返信を印刷した後に、実は年末に出していたことを確認したばかり。
(年賀状ソフトで印刷した人のチェックが入っていた)
危なく2枚目を出すところだった。
たまにはこんなこともあるよなあ。と笑って済ませるはずだった。
ところがである。
8日にまたその先輩から年賀状が届く。
『早々に年賀状をありがとう』という手書きで全く同じ文面。
背筋が寒くなる。
先輩は認知性が発症しているのだろうか。
これで終わりならいいけど、また、明日辺りに同じ文面の年賀状が届いたら。
そして、数日おきに同じ文面の年賀状が何枚も届いたとすれば、これは怖い。
現代の怪談である。