原発文化人50人斬り (著) 佐高 信

面白そうなので手に取った。
私もかねがねここで「責任者出てこい」とかいているので
そういう人の欲求を満たしてくれる本ではないかと期待していた。
読み始めると早速『ビートたけし』『アントニオ猪木』などの名前が出てきて興味をそそる。
ところがである。
読み進めていくと原発推進の基本ラインはテレビのニュース番組程度の情報量でしか無い。
中曽根、読売新聞歴代社長、通産省がらみ。
あとは文化人というだけあって芸能人や作家の名前が箇条書き。
ほとんどが電力絡みのCMに出たとか、雑誌の対談で原発を容認したというもの。
確かによく調べ上げたと言いたいところだが、今どきネット検索で調べることは容易くなった。
そして、結局原発反対を唱えてきたものが善で、推進コメントをした人が悪という話。
芸能人の大半は片棒を担がされただけで、ポリシーではない気がする。
また、文化人というのはずいぶんいい加減なくくりである。
1954年中曽根からもう少し時系列に系統立てて関わった人たちを書いてくれると良かった。
彼ぐらい調べる能力があればそれもできただろうに。
そして、一番悲しいのは文化人はみんな芸能人か作家かマスコミか政治家官僚であって
研究者、理系の人が入っていないことだ。
特に通産省がらみの保安院とか委員会の理系の人たちをもっとつついて欲しかった。
筆者自身も実は過去に原発推進の話しをしたことあるらしい。
自分を顧みずこういう人の悪口、上げ足取りだけのものは不快なだけだね。
3.11の前に刊行したなら高く評価するが、ご時世に乗っかっての執筆はずるい。