転生、仙川 環

昨日の台風の大風がやんだと思ったら関東地方は本日も強い風だ。
さて、本題。
先日、一作目の「感染」を酷評した。
二作目「転生」を入手したのであまり期待しないで読む。
この作品は当たりである。
テーマを人工授精に絞り設定に無理がない。
この手のメディカルミステリーで設定に無理があるととたんにストーリーが崩壊する。
そしていくつかの登場人物と事件が伏線を引き合って次第に一つにまとまる。
「感染」ではややしつこかった所作の記述もとても自然でわかりやすい。
謎解きも後半になると一つ一つ解明されていく感じで目が離せない。
今回は刑事さんとのかけひきもきっちり描かれていて破綻がない。
最後に子供の出生について追求を勝手にやめてしまうところがイマイチだったが。
冒頭の二つの事件が中盤でつながる過程はかなりよいのではないか。
仙川の筆力が一気に高まった(彼女本来の力か)秀作である。
最後に
仙川自身がもともと医療ジャーナリストだったらしく病院内の描き方が外部目線である。
今のところ、舞台が病院内ではないのでそれほど気にならないが、
いずれ内部の話も描こうとするなら、その辺のリアリティが欲しい。