この手の特番はとにかくCMが長い。
録画してCMカットして見れば放送時間2時間10分に対して
1時間40分位で見ることができる。(一部つなぎのシーンは2倍速)
さて、見終わった感想はつまらなかった。
通常放送では水谷は冷静に推理しながら犯人を追い込んでいく、
という「コロンボ・古畑」パターン。
なのに劇場版とのことで余計に予算がある分を、無用なシーンにつぎ込んだ。
つっこみどころを整理してみた。
1.最初の連続猟奇殺人の犯人は誰?
タワーにウィンチでつり下げるなど、ある程度知識が必要。
結局、前半の殺人事件の謎解きはしなかった。
2.謎の少女
前半の連続殺人に若い女性が現れると捜査が進み
本仮谷が登場だがなぜ現場に現れたのかが釈然としない。
もし、犯行を知っての行動なら中盤に「先輩を助けて」という
セリフと今ひとつ一致しない。
3.マラソン
東京マラソンを舞台に選んだわけだが、その根拠や必然が無い。
同一犯とすれば、前半の処刑サイトとの整合が無くなる。
また、マラソンシーンもお金をかけて大量のエキストラを使った割には
ちゃちい映像だった。それはすでに東京マラソンが存在して
ライブ映像を多くの視聴者が見ているからだと思う。
フィクションなのに中途半端にリアルを織り込むとこうなる。
4.右京(水谷)の立ち位置
前半は組織のはずれもの、閑職に追いやられたという設定。
ところが後半はなぜか捜査本部にいる。
また、政治家や官僚にもパイプがある、という設定にも
相当無理がある。
5.チェス
普通、よっぽど好きな人でもクリスタルのチェスが職場には無いだろう。
その盤面がマラソンのパンフの地図の大きさとぴったり一致する
というのも無理無理である。
せめて、この大きさになるように拡大コピーしてくれ、等のセリフが欲しい。
6.西田が真犯人
となると、話は違ってくる。
それまでの猟奇殺人、裏サイト、チェスのトリックなど
全て友人の若い男が、という設定だったのにそうではないらしい。
最後に「私が考え、彼が実行」というがその過程に触れられていない。
終盤は西田の演技でナントカ収まったが、あのシーンが無かったら
ストーリーとしては破綻している。
弾の入っていない拳銃というくだりはがっかりである。
7.sファイルの存在
政府に都合が悪いからと廃棄されたとされているのに
ラストシーンで都合良く出てくるというのもできすぎ。
木村が美人なので一応許すけど。
8.橋に爆弾
だったらすぐに橋は閉鎖でしょう。
時系列から考えてあのモーターボートを遠隔操作していたのが
誰かもはっきりしない。
9.爆弾
爆弾の製造技術、入手経路、等も言及されていない。
ラジコンや倉庫の時限爆弾などよく考えればかなり高度である。
一応若い男が犯人にはなっているが種明かしの前に死んだ。
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というわけで、テーマが分散していること、
明らかにストーリーに整合性がないこと、
などから考えて何人かの脚本家の寄せ集めで脚本ができたと思われる。
あの程度の映画で「興行収入」とか「観客動員」とかで話題になったのだから
日本(日本の映画業界)もたいしたものである。
結局一番金がかかったのは、宣伝と役者のギャラか。