プロ用機材というものがどの業界でもある。
映像や音声の世界ではその辺の住み分けがはっきりしていた。
しかしながら、90年代からはハイアマチュアとプロとの境があやふやになりはじめる。
これはデジタル技術のおかげである。
それでも、耐久性の面でまだかろうじて境界線はあった。
ところがである。
撮影する側でなく見る側の方が歩み寄ってしまったのである。
スマホの普及がそれを加速している。
映画とは大きな画面で見るものと相場は決まっていた。
ホームシアターなどという言葉が90年代から出てきて、映画館へ行かなくても
自宅で迫力ある映像と音声が楽しめるというもの。
へたすれば小さな映画館が作れるほどのお金を必要とした。
同時期には家庭用ビデオが安価で購入できるようになり
レンタル屋の乱立もあって、自宅のテレビで映画を見るというスタイルが定着。
2000年代に入るとインターネットの普及とともにネットを介してパソコンの画面で
動画を見られるようになる。
オンデマンドという言葉が出てきて、見たいときに見られるというのが売り。
15インチの画面で映画を見て「見た気持ち」になっている。
家庭用のテレビが29インチが標準となっていた時代に15インチである。
さらに、2010年代に入るとスマホが普及しはじめる。
完全地デジ化が2011年、標準的なテレビは32インチの時代に
映画を5インチのスマホで見るという、正に時代に逆行。
デジタル時代では高画質の大画面も5インチの動画も同等なんだな。
若者の車離れが自動車業界の責任。
若者の映画離れは映像業界の責任。
日本の映像はアニメで支えられている。
多くの日本映画はアニメやテレビドラマの延長線でしかなく、
大きな画面で見たいと思わせてくれない。
さらに、ちゃちな低予算のCGが後押ししている。
TVのCGとクオリティが変わらない。
アニメの感覚でしか作っていない。
ハリウッドでも、99年ブレア・ウィッチ・プロジェクトが話題となる。
全編ホームビデオカメラで撮影したという。
その画面の粗さが恐怖を…というが。
そして、今回のスマホで撮影した映画となる。
これが主流になるとはとても思えないが。
きっと、見ている人はスマホを見ているような臨場感を持つのだろう。
契約の都合でスマホで動画が見られない私には意味不明だけど。