実在しない営業マン

夏休みに旅行に行くことになった。
ネットで去年も利用した業者で契約する。
すぐに航空券もおさえてもらい支払いへ。
カード払いは直接電話して欲しいとのことで、それも17時前に。
ナントカ仕事のかたをつけて先日16時55分に電話した。
「担当の中村さんをお願いします」
『どんな御用でしょうか』
と、取り次ぐそぶりが全くない。
「代金のカード払いです」
『それでは、私が承ります。お客様の名前、旅行の日付…』ときかれる。
決済はすぐに終わって『ありがとうございました』と電話は切られてしまった。
果たして、担当の中村さんは実在する人物なのか。
私は推理した。
「どちらさまですか、どんな御用ですか」と中村さんにつなぐ様子がまったく無い。
普通なら名前を告げれば、つないでくれるはず。
もしくは「今、席を外しています」というかと。
もしかしたら、『WEB担当 中村』というのは、インターネットの客へのハンドルネームではないのか。
つまり、実在しない社員なのかと、
もし、中村宛の問い合わせがあればそれはネットで注文した客だとすぐに分かる、と推理した。
そのことをメールすると、翌日、返信が来た。
『私宛の電話が大変多く一人で対応できません
ご予約に関する件等は折り返しお電話等にて対応しております
カード決済のお電話は別の職員が対応しております
すべての件対応出来ず申し訳ございませんがご理解ください』
句読点なしのちょっとむっとした文面である。
ただし、私はまだ実在するかどうか怪しんでいる。