北アルプスの高齢遭難

山に登るというのは自殺しに行くのと同じ事だ。
100%安全な登山など無いのである。
と、長野の死んだばあちゃんが言っていた。
装備が貧弱だとか無理な行程だと後で言うのは簡単である。
実際、その状態で無事に帰宅する人が大半なのである。
万が一、数万回に一回の割合で死ぬのである。
なぜかそういう時には、今回のように『なんでそんなことを』と言われるのだ。
特に60歳を過ぎてくると経験値が高くなる。
だから、以前にはこれで大丈夫だったというあやふやな理由で行動するようになる。
それで死ぬのはしかたがないのである。
その人の人生の集約なのだ。
もう一つは、以前には大丈夫だったという経験が随分以前のことだ。
20代30代の経験を元にした理論。
もちろん70近くなって同じ行動ができる体力は無い。
それでも年寄りは昔はそうだったから、と譲らないのである。
こういう経営者の会社はたいてい倒産である。
こういう人のパーティーは遭難なのである。
60歳をすぎれば本来知っているべき知識と経験則が乖離する。
調子の悪い機械を叩けば治ると言いながら乱暴に叩くのと同じだ。
そういう時に遭難なのである。
残念ながらこういう事故は起こるべきして起きている。防ぎようはない。