トヨタセリカ

部屋を整理していたら懐かしいカタログが出てきた。
トヨタセリカである。97年とクレジットがあった。
昔からセリカスカイラインはライバル関係にあった。
70年代はレースにおける過去の栄光にすがるスカGをセリカが切り捨てる、
というCMで話題になった。
排ガス規制のあおりで日産からツインカムが消えたがトヨタは2TGなどを作り続けていた。
しかしながらセリカスペシャリティというジャンルは泥臭いスカGとは違うと
ばかりにFF化してしまった。
ターボで武装するスカGとは違いこぢんまりしたクーペボディにこだわった。
ところがセリカには隠し球があった。
GTRが復活するより一足先にターボで武装したフルタイム四駆を投入した。
初期型は原田知世ちゃんの「私をスキーに…」でも登場する。
FFかFRかの選択の時代は終わり本格的なAWDスポーツの時代になった。
セリカはFMCをしてもGTFourは健在。
WRCでも活躍した。
ところがスポーツ不遇の時代になってしまいこのST205でGTFourは終わりになる。
セリカは初代からバリバリのスポーツではない。
適度にロールする弱アンダーなしなやかなサス。
パワーよりも低回転からストレートに吹け上がる扱いやすいエンジン。
適度な大きさの適度な剛性のシャーシと見事な80点主義のクルマだった。
(もちろんスポーツ、GTとして80点という意味である)
このGTFourは多少「ちからワザ」的な側面もあるが運転してみると
意外に鈍重で神経質なところが無く運転しやすいのである。
面白いことにセリカはこの後のFMCでAWDターボは無くなったのだが
3Sエンジンとこのパワートレーンは昔は兄弟車だったカルディナに引き継がれる。
GTFourの名称も引き継がれたのが興味深い。
そして今となってはセリカカルディナも3SもGTFourも消えものになってしまった。

83130
*********

ホンダZ、軽自動車の傑作、98年


部屋を整理していたらカタログが出てきた、シリーズ。
今度はホンダZである。
学生の頃、先輩がぼろぼろの初代ホンダZを乗り回していた。
クルマを知らない人は「ポンコツ」と吐き捨てるのだが
私は生で見られる本物の歴史上のクルマに興味津々であった。
その先輩も卒業してZはいなくなり忘れ去られた頃、ニュースでZ復活を知る。
バブルの頃、ビートを大ヒットさせたホンダがZ復活と聞いては期待するしかない。
初代のようにボーイズレーサー(死語)か、ビートの後継として2シーターか。
ところが発売時、写真を見てがっかりする。
ずんぐりむっくりのクロカン風だった。
(実はこのがっかりが後を引き、営業的には失敗作となる。)
ところがみてくれとは裏腹にホンダの技術のてんこ盛りだった。
ミッドシップフルタイム4WD、ICターボ、4独ストラット、15インチタイヤ。
重量配分50:50、クロカン性能もある形状にLSD。
カー雑誌など専門家はおおいに評価した…のだが、いかんともしがたかったのが
てんこ盛りのための重量増加、970kgもあった。
当然、運動性能に影響して結局一部ホンダマニアのためのクルマとなってしまった。
今の軽の隆盛をみても技術の進歩ではなく単なるユーティリティの良さが人気。
あの温室みたいなタントが良い例である。
Zは失敗して後継も出なかったが、自動車史上では価値あるホンダの意欲作である。
98年発売後きっちり4年で製造中止になった。
ちなみに我が家はZの後に発売されたザッツを購入することになった。