最近「秩父三部作」を見た。「秩父三部作」とは、埼玉県秩父市を舞台としたアニメ映画3作品『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』、『心が叫びたがってるんだ。』、『空の青さを知る人よ』の総称です。これらの作品は、長井龍雪監督、岡田麿里脚本、田中将賀キャラクターデザインという同じチームが手掛けている。
秩父三部作の作品概要
『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』
公開年: 2011年(テレビ放送)、2013年(劇場版)
内容: 亡くなった少女の幽霊が現れ、その願いを叶えるために高校時代の仲間たちが再び集まるストーリー。
『心が叫びたがってるんだ。』
公開年: 2015年
内容: おしゃべりを封じられた少女が、幼い頃に「言葉を話すとひどいことが起きる」と封印された過去と向き合い、ミュージカルを通じて本音を伝える物語。
『空の青さを知る人よ』
公開年: 2019年
内容: 高校生と、かつて故郷を離れた姉の元恋人、そして主人公の妹が、それぞれの関係性の中で葛藤し、成長していく物語。
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。と空の青さを知る人よ、はどちらも幽霊が出てくる。どんな幽霊かなどの設定は違うのだが、どちらも実際に触れられる設定というのが面白い。さらに幽霊なのでいつか消えてしまうというドキドキハラハラ感がずっと流れていて緊張感が増す。このシリーズはアニプレックスの作品で丁寧な描写、秩父のリアルな情景など見るべき場所は多い。
中身ストーリーについては後ろ2つがいい。あの日も悪くないが10年くらいの時間の開きを上手に埋められず高校生になったけど小学生の心に引っ張られすぎて幼稚な展開になってしまう。
空の青さ、は10年くらいたったあと高個性が大人になった人たちと子供から高校生に成長したヒロインという時間の開きを配役で描写できているところに見どころがある。全員普通に生きているのに心が痛むというリアリティがいい。
心が叫びたがってるんだ。は、障害者ではないのだけど心に傷を持ったヒロインが立ち直ろうとするというのを変に脚色せずストレートに表現できている。そして後半2つは音楽も優秀。心が叫びは名作ミュージカルの一節がところどころに出てきて厚みを出している。空の青さはあいみょんのオリジナルやガンダーラなど新旧の音楽をテーマにしているところがいい。