「お菓子だ」中3生徒が“水酸化ナトリウム”下級生やけど 学校が保護者説明会「子ども通わせるの不安」《新潟・五泉市》
というYahooニュース。
理系の私が今日一番関心を持った。
中学の理科実験で事故率1位が1年生の物質の変化。硫黄の実験をする。硫黄自体は毒性は少ない。とは言ってもどんな化学物質も摂取量によってはすべて毒だ。主食のご飯でも食べ過ぎれば毒になる。呼吸に必要な酸素は細胞には毒性がある。
硫黄は加熱すると二酸化硫黄、鉄との反応で硫化水素など毒物のオンパレード。これだけマスコミに叩かれても何故か硫黄の実験が残っているのが不思議なくらい。有識者によると有毒の火山性ガスの硫化水素の匂いを知っておくことが目的とか。それに温泉の匂いでもあるように低濃度、風通しのいいところではそう簡単に死なない。
もう1つの理科実験の事故が強酸と強アルカリである。触っただけでも炎症、火傷する。もちろん口にはできない。小学校では強アルカリの実験が削除、塩酸の実験だけが残っている。中学でも硫酸、硝酸は削除された。が、酸、アルカリ、中和は残された。扱いやすい塩酸と水酸化ナトリウムを使うことになっている。塩酸は強酸だがもともとは塩化水素という気体が水に溶けたもの。濃塩酸が35%、実験のときは10倍にうすめて3%位で使うかな。水酸化ナトリウムはもともとは個体、水に溶かして使う。HClは式量36、35%は100gに35g、10倍に薄めると1Lに36gつまりだいたい1mol/L、さらに10倍つまり100倍に希釈して0.1mol/Lで使う。NaOHは式量40、1Lに40g溶かして1mol/L。1mol/Lは小中学生にはまだ強いのでさらに10倍に薄めて0.1mol/Lくらいで実験する。とするとHClとNaOHは1mol対1molで反応する。100mLくらいあればいい。実験台1つにアルカリ100mL程度の0.1mol/L溶液を作るとすればNaOHは0.4g。数粒の個体のNaOHが配られる。NaOHは個体だが潮解性といって空気中の水分を吸い込んでドロドロになる性質があるので蓋を開けたまま生徒にとらせることはしない。直前に教員が薬包紙に数粒づつ置いて配るのである。つまり正当な実験では生徒がポケットに入れて持ち出すことはありえない。教員によっては0.1mol/Lでも強すぎると1000倍に希釈して0.01mol/Lで実験することも多い。このくらい薄めるとレモンや食酢のpHに近くなるのでより安全だ。
ここまでで私の推論ができる。この理科の教員はNaOHのボトルを教卓において生徒に自由に取らせたのではないだろうか。0.4gはかなりの少量なのでザクッととれば気がつくはず。だが気が付かなかった何かがあったのだろう。もしくは全く別の時間帯に忍び込んで盗んだのかもしれない。
さらに教員のミスは生徒に強アルカリ、強酸の毒性について説明を怠ったか。
私は大学4年のとき濃硝酸や王水を使って白金族の金属の溶液を作って実験をしていた。この溶剤を指に1滴つけてしまい2年ぐらいかさぶたになった記憶がある。教授はフッ化水素を手につけてしまい救急車をよんだこともあった。経験値の低い教員が教科書見ながら中学生の実験をするなんてとても危険なことだ。