楳図かずお


88歳だそうだ。彼がデビューしたのは私が生まれる前。妹が少女雑誌で怖い話を面白がってみていたのは小学生の頃。そして、私も大好きなまことちゃん。実は漫画好きだった妹が先にファンになりまことちゃんの単行本を買いだしたのである。実はリアルタイムで私はハマっていなかった。
面白さがわかってきたのは大学生移行、おとなになってからだった。写真を見てわかるだろうが、左側12巻までが昭和に妹が買ったもの。右側の1からのものは平成になって増刷されたものである。昭和のまことちゃんは第2版となっていて初版本ではなかった。残念。増刷は就職して全部読みたいと思い大人買いしたのである。

テレビニュースでは楳図かずおの栄光の歴史を紹介しているが、私から見ると可愛そうな人生に見える。スポーツ選手と同じで30歳ぐらいまでが一生のピーク、あとはメダルや記録をぶら下げてスポーツコーナーやバラエティ番組で別の才能を。そんな才能やコネもない人は水商売をやりながら地域のスポーツ振興に、ということ。楳図も60年代から70年代までの作品は才能が突出していた。がそれ以降代表作と言われるものもなくなり変な格好して変なことを言ってテレビなどに取り上げられる程度になった。20年前のまことちゃんハウス事件も一種の炎上商法だな。

こんなのも出てきた。というか楳図の単行本はリビングの目立つ本棚に並べられていていつでも手に取れるようにしている。楳図かずおの後半の生き方は好きではないが彼の作品はかなり好きなのである。
どんなことでも最初に発想して切り開くというのは偉大だし、感動が薄れることもない。

もう一つ
クインシー・ジョーンズが死去した。
テレビではマイケル・ジャクソンの、という肩書だけのような扱いだが、もともとはジャズの演奏、プロデュースをしていた。私は中学生になると洋楽やクロスオーバー(今の人は知らないジャンル)に夢中になった。70年代中盤から80年代にかけては洋楽の全盛期。この中には独立したビートルズのメンバー、三大ギタリスト、クイーン、ピンク・フロイドアース・ウィンド&ファイアー、80年代に入るとマイケル・ジャクソンが花開く。ジャズもそれまでのモダン・ジャズではなく電気楽器を使ったロックやポップスに寄せたジャズ、ブラックミュージックがどんどん出てきて音楽の垣根を壊し始めた。マイルス・デイヴィスハービー・ハンコック、デオダート、渡辺貞夫などが音楽チャートに名前を出す時代である。その中にクインシー・ジョーンズがいたわけで。彼の代表作はアメリカドラマの主題曲なんだよね。それを紹介しているテレビはなかったような。彼はこのときに裏方の仕事のほうが向いていると思ったのか、自分の名前のアルバムがなくなって当時の最高の才能のMJと組んだわけだ。

彼らがそれなりの年齢で死んだということは私の人生もあと20数年ということか。人生は短く学成りがたしだな。とはいっても何かを成し遂げた一握りの人、残りの大多数の人は仕事や子育てに追われて、追われなくなってからの20年30年は生きるためのお金をセーブしながらやんわり生きることになる。一部の芸能人や技術者や芸術家のように死ぬ前の日まで仕事をやっていたなんていうのは成し遂げたと同じ意味なのかもしれない。