凍結精子を無断で保存中止訴訟

ことの成り行きはニュースで見てほしい。
私が食いついたのは、精子を保存しようと思った男性の気持ちである。
高齢出産、不妊治療という言葉が飛び交っている。
19世紀までは出産は10代後半から20代前半の話だった。
平均寿命と医療技術の問題である。
20世紀に入ると30歳まで伸びてくる。
女性の教育や社会進出がある。
21世紀に入ると一気に40歳過ぎまで出産年齢である。
ところが、無理が通れば道理が引っ込む。
高齢出産にはリスクがともなうのにうまくいかないと産婦人科医を訴えるという。
おかげで割が合わないと産婦人科医が減少するという本末転倒な流れに。
種の保存という生物共通の本能がある。
だから神は性行為を快感としたのだった。
おかげで望まれない妊娠のために多くの不幸が存在した。
もう一方で、子供がほしいというこれまた神が作った欲望がある。
赤ちゃんはわざとかわいい外見なんだそうだ。
ここまでが、本能の部分。
ところが、人間という知能が発達した動物にはもうひとつの欲望が生まれる。
これがお世継ぎなのである。
種の保存が一歩進んで、家系や政権のための子供なのである。
お城の大奥など典型だよね。
子供が保身なのである。
今どきそんなことは無いよ、と思っていたが少なからず残っているようだ。
詳しい内情は知る由もないが、このニュースの男性は精子を保存しようとしたのだ。
それは自分の子供のため。
ここでポイントなのは、好きな女性がどうこうではない。
女性抜きで自分の子供のための精子なんだな。
本能というよりはお世継ぎ的な匂いがする。
子供は宝であるけど、宝を医療技術で作っちゃおうとする今の風潮に首を傾げる。
17世紀の錬金術のような感じで嫌だ。