粉雪とバレンタインチョコ

昭和40年代に日本のお菓子会社が女子がチョコを送ると
宣伝したらいつの間にか行事になってしまった。
日本以外ではただ好きな人に贈り物を、となっているらしい。
チョコというのがミソだな。
女子は大好きなチョコを大義名分のもとに買い漁ることができる。
最近では、自分のために、という目的が多数派になっていると聞いた。
もうすでにバレンタインなど関係ない。
ただのチョコ好きの女である。
無理が通れば道理が引っ込む、の典型だな。
さて、
私は文面を見ても分かる通り人から好かれる性格ではない。
さらに容姿も悪いので、女子からは毛嫌いされてきた。
当たり前だが、義理チョコさえもらった経験などほとんどない。
最悪、周囲はもらっていて私だけ無いなんていう悲惨なことも。
よくぞ自閉症にもならず学校へ通ったものである。
義理チョコも職場によって雰囲気がちがう。
私の業種は少ない方である。
ところが郊外の事業所へ行くほど配る傾向が強まるようだ。
義理チョコは基本的にみんなに配る、みんなに配っていますよ、と配る。
変な誤解を招かないためなんだろうな。
会議室の全員のデスクの上にわかるように置いておくか、手渡しなら人前で渡すか。
そこまでして義理チョコを誤解のないように配るくらいならやめちまえ。
ところがである。
研究室の奥にある私のデスクに袋が置いてあった。
中はちょっと高価なチョコである。
義理にしては高価である。
もちろん私は下っ端なので部下から気を使われることもありえない。
いつも貧乏していることは周知なので、ホワイトデーのお返しを期待されるわけもない。
というわけで、変な誤解をしそうな粉雪が舞う朝であった。