真夏の方程式 東野圭吾(注意ネタバレ)

2日くらいで一気に読んでしまった。
お陰で夕べ寝たのは午前3時。
せっかくの休日なのに寝不足である。
読んでいて思ったのはドラマの脚本を読んでいるよう。
明らかに映像化を意識しているように感じる。
それが東野作品の良さでもあり、とにかく読みやすい。
もったいぶった伏線がなくてすべてラストの謎解きにつながるから
ある意味、安心して読むことができる。読者を裏切らないのである。
そういう意味からすると本作はガリレオシリーズとしてはちょっと拍子抜けかな。
16年前の事件と今回の事件のつながりを湯川は早く気づきすぎたように思える。
お陰で後半は私も少し早めにネタが読めてしまった。
作者はあえてそれを意識して書いたのか。
これは人間ドラマ、家族の愛情がテーマである、といいたげだ。
できれば、こういうネタは湯川より加賀恭一郎の方が良かったのではないか。
地方の警察組織の縦社会の悲哀と間抜けさ。
ラストで彼らの結論に結局迎合するという悲しさが良かった。
さらに、ラストで死を直前にしたおじいさんが娘の写真を見て
「知らない」と泣き叫ぶには『砂の器』のオマージュか。