ホットケーキミックスを用意する。
容器は牛乳パックの下部。
牛乳と粉はどちらも100g。
割りばしでよく混ぜる。卵は使わない。
実験装置はかなり簡単。
導線と電極となるステンレス板、交流電流計。
電源は家庭用交流100V。
実験装置を組み立てる。実際の実験では温度計も用意した。
いよいよ通電、スタートである。
授業では1分ごとに電流値と温度を測定させた。
最初の1分は1A程度で推移する。
温度が上がり始めると電流値は2Aを超える。
湯気をあげながら発熱、同時にケーキが膨らんでくる。
6分もするとケーキが膨らみきって水分の減少とともに電流値が下がってくる。
電流値が0Aになったところで実験終了である。
電極を抜いてナイフなどで中身を取り出す。
ケーキというよりは蒸しパンという感じ。
学習のポイント
1. 発熱
なぜ電流を流すだけで発熱するのか。
それは水分の中を移動するイオンと移動しない炭水化物の分子が衝突する時のエネルギーだ。
もともと電気で熱を作るときはニクロム線などの原子が電子と衝突することで起きる。
こういうのを電気抵抗という。
2. パンケーキが膨らむ
これはホットケーキミックスに入っている炭酸水素ナトリウムの化学的性質による。
加熱すると分解して二酸化炭素を生じるからだ。
3. 電流が0Aになる
イオンは液体中で移動するもので固体では動けない。
加熱して水分が飛べば電流は流れにくくなっていく。
化学的にスイッチが切れるシステム。
4. エネルギーを考える
AC100Vで最大2A、平均1A程度で8分ほどかかった。
電力の公式P=IEに代入すると定格100W、最大220Wとなる。
もし、家庭でオーブンや電熱線ヒーターで調理したとするとこれらの器具はだいたい800Wぐらい。
さらに通電を初めてから10分以内に完了するか微妙である。
同じ時間がかかったとして4倍程度の熱効率ということになる。
これは電気で直接食材を加熱するのか、一度熱を作ってフライパンを加熱するかの違いである。
電子の力で直接食材を加熱するものでは電子レンジがこれに近い。
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注意
この実験は電極に100Vの電圧をかけるので直接金属部分に触ると感電する。
家庭ではやらないほうが良いだろう。
小中学生にやらせるのも危険である。