東野圭吾『パラドックス13』

この本の書評を書こうと思っていたところに老人被災者の記事を読んだ。
老人をいたわりましょう、尊重しましょう、という啓蒙はさかんだ。
ところがこういう災害にたいしてどうだろうか。
という問題をたたきつけられた。
この東野圭吾パラドックス13』でも中盤で地震水害から逃げ延びた老人のセリフがある。
社会福祉の矛盾、老人をいたわれない社会構造の矛盾について言及している。
そのシーンは非常に短く全体のストーリーに大きな影響はないところだが
2011年に読むと心を動かされる。
東野圭吾の作品としてはめずらしくすこし間延びした内容ではあるが
終盤の謎解きはそれまでの人間関係の伏線とからみ合って東野節炸裂となる。
☆3つというところかな。