三谷幸喜『わが家の歴史』3夜平均20.3%

番宣では豪華キャストがウリのようだがこれは三谷幸喜に失礼。
最近は大人向けというとミステリーかどろどろした愛憎もの。
肩の力を抜いてオトナが楽しめるドラマが無かったのだ。
寺内貫太郎一家的な?!
最近の三谷幸喜作品は自分の人脈を誇示するような豪華キャスト
というのが定番になってしまったのがちょっと残念。

***東京タワーオカンとボクと…


今さらだとは思うが昨日「東京タワーオカンとボクと…」を観た。
ずっと観よう観ようと思っていて今頃になってしまった。
もちろんキッカケは先日の三丁目と三谷のドラマの影響である。
ストーリーや配役などはこれまでも言い古されているのであえて触れない。
それぞれの役者が過剰な演技をすることなく自然体だったのがリアルでよかった。
さて、私が注目したのが映像である。
この映画は三丁目のようにVFXを使うことなくロケでまとめている。
実は一昨年、栗原市のロケ現場を見学してきたのだった。
宮城岩手地震震源地近くということもあり、崩壊はしていなかったが
立ち入りが規制されている建物があった。
特に映画の中でおばあさんが坂道をリヤカーをひっぱるシーンがあるが
あのへんは立ち入りが規制されていた。
もともとは近くにある鉱物の工場の社宅として建てられ、保存されたものを
ロケ場所として使われたらしい。
さて、時代考証なのだが映画内ではとくに昭和何年という記述はない。
昭和の時代の雰囲気だけがポイントだったようだ。
ところが、主人公の大学入試のパンフレットに1982年と記載されていた。
逆算すると主人公は昭和39-40年生まれとなる。
これは作者リリー・フランキーのプロフィールと一致する。
昭和40年代なら九州の田舎ではまだああいう木造の長屋が並ぶ景色は残っていただろうが
彼が中学生前後は50年代。
ちょっと景色が古すぎないかと思ってしまった。
前半の子供時代の映像は明らかに昭和30年代、東京タワーができた頃のイメージである。
題名が「東京タワー」だったもので、また、映画の宣伝がいかにもという映像だったもので
三丁目と同じ時代の話だと勝手に思っていた。
そういう先入観も働いてか時代考証にちょっと?と思った次第。
多少の?も緻密に描かれた親子の絆が心に響くよい映画であった。
また、作家や芸術家がある程度成功するためには、このくらいのはじけた生い立ちの方が良いのか
と、売上200万部…20億円…に心が熱くなるのであった。