ブタがいた教室

去年封切りの話題作である。
家で観られるのを楽しみにしていた。
話自体は単純なもので大方ストーリーも読めていた。
いかに映像化するか、いかに綺麗事で終わらせないか、が関心事。
突っ込みどころを整理してみた
1.出てくる教員のバランス
妻夫木と校長、教頭がメイン。3年生担任が一人とバランスに欠く。
学年主任やら妻夫木の相談にのる立場の人がいない。
2.校長
この校長は出来すぎ、というかヤラセに近い。
今どき、保護者との対立も辞さないなんて校長はいない。
3.保護者
保護者会でこの話題でもちきりだった、とセリフのみで片付けている。
一応、数人の母親が乗り込んだ事になっているだけ。
実際は、執拗な保護者からの攻撃にさらされて教員が折れてしまうことが多い。
妻夫木にはそういう葛藤も演じて欲しかった。
妻夫木も生徒と全く同じ目線と行動にしか見えてこない。
それでは40年前の青春ドラマと同じである。
まあ、それが狙いというならしかたがないが。
4.ディスカッション
できるだけ問題点を浮き上がらせるように発言させている。
小学生だから幼稚かと思いきやなかなかしびれるセリフもポンポン飛び出す。
このシーンがメインなのだが、このシーンが長すぎるとのコメントもあった。
実はすべて今の大人の社会を風刺しているものであると感じた。
小学生並みの幼稚な考えの大人がいかに多いことかと感じてしまったのは私だけか。
5.ラストシーン
本当はここがみんな知りたいところだったわけだが、大変綺麗な映像でごまかされた。
かといって泣きながらトンカツを食べる子どもたち、というシーンも節操がない。
しかしながら本作の主題である、生きるために食べる、が言及されていないのはなんとも。
また、担任の一言で殺生反対派の半数の生徒が素直に黙ってしまったという
心の動きも読み取れなかった。
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ただし、ここに書いた評価は大人の立場から見たものである。
この映画は是非全国の小・中学校で子供に見せてやって欲しい。
無責任なペットの管理。
綺麗事ばかりのヒューマニズムを唱える大人。
食べ物を粗末に扱う多くの人。
食の安全のもっと手前の大切な食育の教材となるだろう。
そして悪い大人にならないように、と願いも込めて☆4つ。