日産に続いてスバルもか。
という完成検査不正のニュースである。
不正であるので良くない行いであることは私にもわかる。
ところがである。
果たしてこの事件で誰が損害を被ったか、である。
強いて言えば、許認可権のある国交省のプライドが傷ついた。
この不正で事故を起きた、人命が危険にさらされたということはほぼ無い。
一昔前の三菱自動車事件や最近のエアバッグ事件とはちょいと話がちがう。
そもそもの完成検査とは何なのか。
それがはっきりしないまま、けしからんと騒いでいる。
ここからは私の推測である。
この完成検査というしきたりは多分50年以上前にできたものではないか。
昭和の自動車の黎明期、自動車はまだまだ未完成な工業製品だった。
ドライバーはある程度の機械知識がないと自動車を乗り回すことができない。
女性には敷居が高かった。
したがって整備する方も職人技が必要だった。
その延長線上に完成検査の制度があったのではないか。
それなりのスキルがある人、つまり資格のある人が検査をする必要があった。
今どき、パーツの精度が上がり、組み立て精度があがり
ラインから出てきたクルマがいきなりダメだなんてことはほぼなくなっただろうし
ラインの出口で多少の点検をしたところで、すぐにわかるような不具合などなくなった。
すぐにわかるのは、ラインから出る時に係員がエンジンをかけて動かした時にわかるだろ。
その上、検査自体も機械化され逆により精密になっているはずだ。
つまり検査自体がマニュアル化されていて個人のスキルの優劣で結果が変わることがなくなった。
まして資格のあるなしなど現場では意味がなくなっていた。
という推理である。
不正を許さないというのはわからなくもない。
ならば幹線国道のバイパスで速度取締を行い1キロでもオーバーのクルマは
全て取締の対象とすればいい。
いろいろな意味で無茶な話だし、そんな取締をする意味はない。
もう1つ
クルマを運転するというのはある意味特殊な技能だったが
いつのまにかみんなが運転するようになっていった。
いろいろな見かたがあるが、私がおおっと思ったのはEFI、EGIの実用化だな。
電子制御燃料噴射というのだろうか。
それまで、職人技だったエンジンの始動を誰もがキーをひねるだけでできるように。
寒いか温かいか、エンジンが冷えているか温まっているかに関係なく
エンジンは一発で始動するのである。
さらにパワステが標準となり女性でも老人でも気軽に運転できるようになる。
いい時代になったはずなのに、若者のクルマ離れ。
諸行無常なのである。