トヨタ、燃料電池技術特許無償開放

せっかくの大金はたいて積み上げてきた技術を無料で配るという。
営利追求企業としてはいかがなものか。
深読みしてみた。
ポイント1 燃料電池の普及
せっかく苦労して作っても売れなければどうしようもない。
たくさん走らなければ水素ステーションも増えない。
という論理。
確かに一理ある。
遡るとビデオテープ。
先行したのはベータのソニー
せっかくの技術を独占しようとした。
ところが、松下ビクターグループのVHSはその規格を開放した。
技術や画質では劣っていたVHSだったが、最終的には多数派となった。
もう一つ
初期のパソコンはそれぞれの規格に基づいたOSが必要だった。
アップルはマッキントッシュ、それ以外はマイクロソフト
さらに、日本では富士通NECがシェアを競っていた。
ところが、IBMはその規格を開放してDOSV、AT互換機とした。
中小のメーカーや部品屋も同じ規格なので安く製造ができる。
日本ではほぼ標準となっていたNEC9801もAT互換機に飲み込まれていくことになる。
トヨタは特許を開放するのを条件に自分たちの規格で普及させたいと考えている。
ポイント2 裏で暗躍
私は政府主導の疑いを禁じえない。
トヨタは一企業ではあるが、一つの国家といえるくらいのものを持っている。
政府のエネルギー政策は最優先課題の一つ。
60年代から推し進めていた原発が4年前に吹っ飛んでしまった今
原発に代わるものを推し進めなければならない。
燃料電池技術は救世主である。
原子の核反応も水素と酸素の電子のやりとりも
文系の官僚や議員に理解できるわけがない。
なんでもいいから化石燃料以外のエネルギーを推し進めたいのである。
ポイント3 水素の合理性
以前にもここで書いたが水素自体はとてもエネルギーの大きい物質であるが
それは水素の単体の話で水のような酸化物にはエネルギーは無い。
水から水素を取り出すには水素が持つエネルギーに相当する電気エネルギーが必要。
これをエネルギー保存の法則という。
したがって、水素は夢のエネルギーではない。
しかしながら、日本は資源が無い国だから頼らざるを得ない。
一つだけ利点があるとすれば水素は保管できるということ。
つまりエネルギーを貯めたり運んだりできる。
政府が進めるエネルギー政策に自然エネルギーがある。
ところが風力にしろ潮汐や波にしても、昼間の需要が大きい時に合わせることは不可能。
自然のおもむくままにしか発電しない。
そこで充電池があるのだけど、都市の電気を賄うほどの充電池などありはしない。
そこで登場するのが水素だ。
つまり自然の不規則な力で発電した電気で水素を作る。
その水素を必要なところで発電に回す。
水素は持ち運びができるので、大きな発電所と長大な電線を使わないで
電気の地産地消ができるということだ。
私が思うに、自動車など無理して燃料電池で走らせることはない。
そう簡単に中東の石油は枯渇しないだろうし。
しかしながら、資源がない日本では燃料電池は次の世代につなぐライフラインだと考える。