肥薩線真幸駅(まさき)

肥薩線峠越えシリーズである。
熊本県人吉から鹿児島県吉松に至るまでの急勾配区間の鹿児島県側の駅。
ただし、この駅だけ住所は宮崎県になる。
県境が入り組んだ本当の山奥である。
真幸駅地図
えびのからクルマで近づくと『真幸駅』の看板が見える。
とりあえず観光地的な扱いになっている。
駅まではえびのから15分近く上り坂。
それでも道路は広くてよく整備されていてストレスはない。
駅の近くには駐車場が完備されテントの野菜などの直売所もある。
100mほど坂を登ると駅舎が見えてくる。
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無人駅ではあるが週末と月曜は地元の人が売店をやっている。
同時に駅の掃除や管理もしているようだ。
旅番組で見たことあるおばはんがいた。
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この駅の名物は幸福の鐘だそうだ。
まあ、こんなものでも観光客は喜ぶ。
なんたって、何にも無い山の中の駅だからね。
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さて、お目当ての列車が登ってきた。地図(1)
朝の早い時間帯だったのでいさぶろう・しんぺいではない。
色気のないステンのディーゼルである。
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地図(2)
ホームに進入して停車、とは言ってもこんな山の中で乗り降りする人はいない。はず。
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駅を発車するとポイントを右に進み第二スイッチバックへ向かう。
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スイッチバックで停車、地図(3)
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スイッチバックで運転手は再びこちら側の運転席に移動して一番右の登り坂の線路に入る。
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そして、人吉方面に坂を登っていった。
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幸駅一口メモ
ホームの奥に岩が置いてある。
昭和47年この一帯を集中豪雨が襲い山が崩れて駅の周辺をほとんど押し流した。
お陰でもともとあった人家も移転してしまいあたりはひと気がなくなった。
地図で見ると南側のトンネル。
昭和20年、終戦直後の8月にトンネル内で大事故があった。
戦地から引き上げて鹿児島で上陸した兵隊たちが肥薩線に乗って本土の自宅に帰宅しようとした。
帰路を急ぐ兵士たちは駅員の制止も聞かず定員の数倍、客車に乗り込んだ。
国鉄はかなり重い列車だからと補機の機関車をつけて吉松を発車。
ところがこのトンネルで機関車は立ち往生してしまった。
客車が重い上、戦中戦後の粗悪な石炭が原因とされる。
トンネル内で2両の蒸気機関車がフル出力で発車しようとしたから客はたまったものでない。
列車を降りてトンネルの出口にむかって歩き出した。
機関士は登れないからといったんバックして登り直すことを決意。
線路上を歩く兵士たちを次々にひいてしまったとのこと。
死者49名の大惨事となった。
トンネルの近くには慰霊碑があり、今もこの時期に慰霊祭が行われるとのこと。
また、トンネル内では写真に霊が写るなどと言われている。