WOWOWの男はつらいよ全作品放送もいよいよ終盤である。
その中でも一番思い出深いのが第40作サラダ記念日である。
なんといっても、ふるさとの長野県小諸市が舞台である。
冒頭でお祭りの屋台のシーンが出てくるのだが私の実家(正確には親の生家)のすぐ近くでロケが行われた。
たしか何らかの休みで実家に滞在していた。
山田洋次はやたらかっこいい、「スタート」の声も太くて怖いくらいだ。
ところが、寅さんはといえば驚くほどおじいさんだった。
シワを隠すためか顔が化粧でやけに白い。動きも緩慢だった。
実際、この頃の作品を見ても声がかすれ気味で腹から声が出ない感じ。
元気のない寅さんは観ていて辛い。
もともと渥美清はメジャーになる前に肺の大病をしたそうで体力には自信がなかったという。
だからフーテンだのテキ屋だのいう割に劇中でもタバコを吸うシーンは無い。
そしていよいよこの頃から症状が演技の中にも見えてきた感じだ。
ちなみに、ヒロインの三田佳子がいた病院は本当に小諸病院だ。
白い板壁のシックな建物。
私の祖母が死ぬ間際にこの病院にいた。
よく、お見舞いに行ったな。
小諸といえば
街中でも標高600m程度ある坂の町。
浅間下ろしが冬は冷たく、真冬は氷点下20度近くまで下がる。
実家は貧乏で風呂がない。
歩いて10分ちょっとの銭湯に通うわけだが、坂はあるしその坂は凍っているし
気温は氷点下だし、よくぞ銭湯に通ったものである。
私もこの実家がなくなるまで小諸に行くと祖母や伯父伯母に連れられて銭湯に行った。
氷点下なのになぜか楽しくあったかい思い出だ。
昭和ももうすぐ終わりという時期だった。