受刑者 消毒アルコールで飲酒

身近なアルコールとしてメタノールエタノールがある。
分子構造が近い両者は性質も似ている。
メタノールのほうが沸点が低い。
さて、実際に飲むのはどちらかご存知か。
エタノールである。
それでは消毒用に使うのはどちらかご存知か。
やはりエタノールである。
メタノールにも殺菌作用はあるようだが実は人間にも毒である。
ここからは高校の化学の話。
ダメな人はここでさようなら。
エタノールは飲むと速やかに血中に吸収される。
血中濃度が上がると覚醒したり酩酊したりする。
麻酔作用もあるので飲んだ時の怪我を覚えていないなんてこともある。
こいつは人体には毒なので肝臓で酸化分解される。
生成物はアセトアルデヒド、CH3CHO。
こいつは毒性が強く、頭痛吐き気を起こす。
俗にいう二日酔いだ。
さらに肝臓で酸化分解されて酢酸CH3COOHになる。
こちらは無害な物質。
さて、メタノールも体内に入ると似た様なプロセスをたどる。
肝臓で酸化されてホルムアルデヒドHCHOになる。
これは猛毒で強い殺菌作用があるためその場で周囲の細胞を破壊(殺菌)する。
というわけでここでおしまい。肝不全であの世行き。
というわけで手や食器などを消毒するからには口に入る可能性もあるわけで
人体には無害な(多少は有害である)エタノールが用いられる。
というわけで牢屋で飲んでも死にはしない。ただし、刑期は伸びる。