総武線の恋人

昨夜都心で人と会う機会があり夜9時頃に総武線に乗って家路につく。
一番後ろの車両に乗った。
総武線の209系は運転席後ろの窓の面積も広くて見晴らしがよいので好きだ。
最後部なので車掌さんが右へ左へと横切るのだが、顔を見てびっくり。
女性であった。それも美人である。
どちらかというと週末の夜と言うよりはイベント列車やVIP列車に
乗務するような美人である。
鼻筋がとおりきりっとした大きな目、一つに束ねたロングの黒髪。
制服と女性用の帽子もお似合いである。
亀戸停車の時だったか、発車の音楽を流して車両に乗り込もうとしたとき
ホームを走ってきた男性が叫ぶ「8号車に急患、人が倒れた!」
車掌はまず運転席に入りボタンを押した後(多分緊急の何かだと思う)
受話器をとりなにやら話している。
すぐにホームに出て発車ベルボタンの脇にある受話器を取って駅員に連絡。
私はドアから顔を出して8号車方向を見ると数人がぐったりした男を抱えてホームに出していた。
美人車掌は現場まで走っていったところで駅員が上がってきてすぐに話はすんだ様子。
走って運転席に戻り車内放送でその旨を伝える。
もう一度発車ベルを押して運行に戻った。
少し車内放送のタイミングが遅く感じたが見ている限り仕方がない。
走り出すとかわいい形のピンクのメモ帳をカバンからとりだしメモを書き始める。
多分、この一件の報告をするためだろう。
3分ほど停まっていたので遅れの時間を気にして腕時計を何度も見る。
その細い腕になぜか二つの時計が巻かれていた。
一つは丸いアナログ、一つはデジタル。理由を聞いてみたかったが遠慮した。
列車は予定より遅れたが実に充実した40分間の乗車であった。

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